今からみれば

中村静治『現代日本の技術と技術論』(青木書店、1975年)です。
著者の1970年代前半の論考をあつめたもので、石油ショックを契機にした、日本のエネルギー政策に関する文章が主になっています。むかし、学校では「エネルギー革命」とかいわれて、石炭から石油への転換をよいことのように教えられたものですが、それがアメリカ石油資本のいいなりであり、そこも対米従属のひとつの形態であったことも、著者は論じています。その点で、技術というものが、実際には階級支配のもとではゆがめられてしまうことをわかりやすくしています。こうした、古典的なものも、ときには勉強する必要もあるのかなと思います。この段階では、まだ原子力発電は中心課題ににのぼっていないようですが、本質的には同じだとも著者は指摘しています。

ところで、著者の経歴がカバー裏にあるのですが、1916年うまれだそうです。ところが、ネット上で検索をかけたところ、ご健在なのか、亡くなられたのかの情報に行き当たりません。こうしたケースは、ほかにもあるのですが、そのような生没を管理する機関はないのでしょうかね。著作権のこともあるから、没年はけっこう重要な情報なのですが。