未決算

趙景達さんの『近代朝鮮と日本』(岩波新書、2012年)です。
19世紀から韓国併合までの歴史を書いているのですが、やはり、明治期の日本が、朝鮮や中国に対して抱いていた侮蔑的な感覚について、もう少し日本人は考えなければならないのではないかとも思うのです。
日清戦争のころに、中国を見下す言説が流れていたことは、以前『幸田露伴の非戦思想』についてふれたときに、そこに紹介されていた当時の新聞や雑誌の記事をここでも取り上げたと記憶しています。
そうした感覚が、一朝一夕に生まれるものではありませんから、そこは幕末の尊皇攘夷のころまでさかのぼらなければならないのかもしれません。攘夷から開国への転換は、あくまでも実利からうまれた発想ですから、そこを支える心情は変わらないまま、明治の社会の発展の中で、温存されてきたということなのでしょうか。
そこをきちんと見ないと、いつまでたっても日本は変わらないのかもしれません。