生活のなか

NHKブックスから1980年ごろに出ていた『歴史の町なみ』のシリーズ全5冊です。
北海道から沖縄まで、当時あった歴史的な景観の町について、各地の保存修景計画研究会のかたがたが、現状と保存のための提言とをまとめています。
この時期には、まだ古い生活のなかで、歴史的な建造物も現役のものとして存在を確保することができたのでしょう。実際、奈良県橿原市今井町のように、外観を残しながらも、新しい生活に順応させようとしているところだとか、中山道妻籠宿のように、厳密なルールをつくって保存につとめるところなどが、紹介されています。
ただ、公道の幅が4メートルないとセットバックしなければならないとか、耐震工事が必要になるとか、そうした変化は、いまここにある町なみをどう変えているのか、30年という時間は、けっこう長そうです。