復刊

岩波新書が、「もう一度読みたい岩波新書」というタイトルで、10冊の復刊をするそうです。そのなかに、加藤周一『抵抗の文学』(1951年)がはいっています。
フランスのレジスタンス時代の文学についてのエッセイをまとめたものですが、平凡社の『著作集』にも、岩波の『自選集』にも、新書の形でまとまって収録されたことのない本だったのです。その意味では、完全版として読めるのはいいことにはちがいないでしょう。
けれども、著者が、そこに収められたすべてを、著作集に収録しなかったという事実も、知っておいたほうがいいのではないかとも思います。著者には、同じ岩波新書から、『ウズベック・クロアチアケララ紀行』(1959年)がありますが、これは平凡社の著作集に全部収められています。それとはちがった扱いをしていたわけです。