自家薬籠中

揖斐高訳注『頼山陽詩選』(岩波文庫、2012年)です。
日本漢文の文庫本はそんなになく、岩波でもこれと柏木如亭の作品がいくつかあるくらいでしょうか。
頼山陽が、ふたたび脚光を浴びたのは、1960年代の後半に、富士川英郎中村真一郎が江戸の漢詩人たちを取り上げるようになってからだとは思いますが、あらためて、こうした普及版で出ることが、当時の日本人が、日常の生活を漢詩文を使って表現していたということを、しっかりと認識させるものになるのでしょう。
せっかくの先人の業績、埋もれさせてはもったいないのです。