またぐ

佐伯一麦さんの『光の闇』(扶桑社)です。
2008年から2012年にかけて書かれた連作小説を中心にした小説集です。この連作は、小説家である自分がめぐりあう、さまざまな欠損を抱えた人たちとのかかわりを描きます。耳がきこえなかったり、目がみえなかったり、嗅覚を失ったり、というように、さまざまな欠落があらわれます。そこに、地震津波の災害が加わり、最初に登場したご夫婦は、妻のほうが津波で行方不明になってしまったことが語られてゆくのです。
人のいとなみと、生活の流れがでています。