習合

伊藤聡さんの『神道とは何か』(中公新書、2012年)です。
日本の土俗的なものが、「神道」として、組織化されるプロセスをたどるもので、中公新書らしい、手堅いものになっています。
神仏習合によって、神も仏にすがって成仏をめざす存在として体系化されていくということで、普遍宗教としての仏教が広がっていくというのも、なかなか世界的にはおもしろいことなのかもしれません。
鳥獣の殺生も、命を奪うことによって、その生き物を畜生道から救い出し、解脱して転生させる機縁なのだ、というのも、方便なのかもしれませんが、人びとの生活を守る落としどころともいえるのでしょう。
たしかアイヌの神送りの儀式も、地上におりて帰れなくなってしまった動物神を、また天上にもどすという意識があったように聞いています。ひょっとしたら、和人とアイヌ人との間にも、こうした経験交流のようなものがあったのでしょうか。