体系づくり

小野忠重『版画の魅力』(新日本選書、1971年)です。
古今東西の版画を紹介する(図版も多数はいっています)、美術史の入門的なものになっています。
この『新日本選書』のシリーズは、1970年代にけっこう出版されていて、今でも勉強になりそうなテーマのものもあります。当時は『筑摩叢書』とか、今ならば『講談社選書メチエ』や『角川選書』がはたしているような役割のものがいろいろな出版社から出ていました。『新潮選書』もそうですね。これも今もでています。
それぞれの出版社ごとに特色があるのはもちろんですが、そうしたおおげさにいえば『知の体系』としての出版も、もう少し過去の蓄積をなんとかできないものかとも考えてしまいます。新日本出版社がオンデマンドに手をだしても、ほしがるひとがいるかどうかはわかりませんし。