こういうときに

姜在彦『朝鮮儒教の二千年』(朝日選書、2001年)です。
儒教となっていますが、実質的には政治思想から見た朝鮮半島史といってよいもので、伝説時代から大韓帝国滅亡までの時期を通覧することができます。
著者は、とくに李朝時代の、朋党の争いを不毛なものと見て、それが朝鮮の19世紀後半の他国との対応にまであとを引きずっているとみています。もう少し早く、別の対応ができていれば、朝鮮半島の現状もちがっていたかもしれない、ということなのでしょう。
今の、いろいろとややこしい事態についても、その発想の根源には、当時からの名分を重んじる考え方がまだまだつづいているのかもしれません。