ころがす

岩波文庫『白楽天詩選』(全2冊、川合康三訳注、2011年)です。
日本人は漢文を訓読するという、外国語受容としては変わったかたちのうけいれかたをしてきました。それが漢詩の場合、特に詩吟というかたちで、語調を重んじるものになっていきます。
しかし実際、書き下しをつぶやいてみると、詩によくあらわれる、双声や畳韻という擬態語をつくる表現は、おとのひびきが、けっこう心地よいものであることがわかります。律詩の対句も、対であることをかんじさせる訓読が伝統的に行われているので、これもリズムとして耳にはいります。
文字の連なりというだけではない、日本語としても鑑賞に堪えうることが、漢詩の力でもあるということでしょうか。それを和習といわれればそれまでではありますが。