投機

長谷川亮一さんの『地図から消えた島々』(吉川弘文館、歴史文化ライブラリー、2011年)です。
太平洋上の島の位置を確定していく中で、存疑とされる島と、その周辺をめぐる開拓者たちの物語です。
明治になって、〈南進〉がはかれらるようになる中で、アホウドリの羽毛を確保するためだったり、リン鉱石を採掘するためだったりと、さまざまな理由で南の〈未知の〉島を開拓する人たちがあらわれます。
もちろん、鳥島南鳥島に実際に入植してアホウドリの捕獲につとめたり、沖大東島を開拓したりという、実際の開拓もありますが、架空の島を発見したと偽って、そこを日本の領土として認定させたりした人まであらわれたとのことです。そうして認定された〈中ノ鳥島〉は、最近まで実在している可能性を疑われ、法令にも日本の領土に含まれるか否かという範囲決めの定義中に登場してしまっているのだそうです。
実際の開拓も、資源の濫獲ですぐに撤退においこまれたり、鳥島のように噴火にまきこまれて命を落としたりと、よいことばかりではありません。
それにしても、トキも濫獲で絶滅状態になったのですし、人間のわざとは何かとも考えてしまいます。