ジグザクでも

高良勉さんの『沖縄生活誌』(岩波新書、2005年)です。
沖縄の生活と、その中で生きる著者の暮らしのあり方を、エッセイとしてつづります。
その中には、かつては子どもたちが豚や山羊の解体を手伝うことで、一人前のおとなになる訓練をしていたのが、本土復帰以後は、いろいろと制約が多くなったような、今の日本国のシステムが、決して民俗的伝統の継承にはプラスにならない側面も紹介されます。
著者は、1960年代から70年代にかけては、〈反復帰〉の立場に共感していたのですが、最近は親しい人たちがいろいろと政治の世界にかかわるようになってきたので、昔のようにはいかなくなったといいます。民俗的な伝統と、基地問題にあらわれる焦眉の問題とを、どのようにつなげていくのかが、問われているようです。
本当は、それは沖縄だけの問題では当然ないのですけれど。