七掛け

香山リカさんの『なぜ日本人は劣化したか』(講談社現代新書)です。
最近の日本の状況を、「劣化」ととらえ、それを直視しての対応を考えようとしています。たしかに、新聞や雑誌の活字が大きくなって、その中の情報量が少なくなっているのは事実ですし、各社新聞の文芸時評が昔は二日間あったのが、いつの間にか一日に減っていたりとか、そういうことはあります。
最近は、「年齢も「七掛け」して考えたほうがいい、そうすると、今の20歳は昔の14歳だ」という声さえ聞かれます。(このときの「昔」とはいつのことなのかはわかりませんが)今度の改憲手続き法でも、投票資格を18歳としたことに懸念の声があるのも同様なところからくることもあるでしょう。
格差社会とか下流社会とかの論立ても、そろそろ出尽くしたような感じがあって、もうこれからはどのようにそれと対決していくかということが焦点になりつつあるように思います。青木書店から出た後藤道夫さんや中西新太郎さんたちの共同研究の『格差社会とたたかう』だとか、最近の若者たちの動きをみていると、いまを生きることの難しさを感じるのですが、そういうことともあわせて考えることが必要なのでしょう。