単なる回顧ではなく

日付は変わってしまいましたが、憲法記念日ということで、鶴見俊輔さんと瀬戸内寂聴さんとの対談『千年の京より「憲法九条」』(かもがわ出版、2005年)です。
1922年生まれのおふたりが、みずからの生活のなかから憲法を守るための論理をみつけようとする立場から、話をしています。
戦争の時代をくぐりぬけた人たちの、「自分が生き残っている」ことへの後ろめたさのような感覚は、私たちがきちんと受けとめていかなければならないのだと思います。最近の能天気な憲法論議をみていると、そんな歴史への敬意などどこにあるのかという感じもするだけに、ふたりの意見は貴重なものです。
鶴見さんは、最近の『図書』でのエッセイでも、『世界文化』や『土曜日』などの京都での1930年代の〈人民戦線〉の経験について書いています。いろいろな知恵をつかった抵抗のありかたも、今の時代にふさわしいものを模索していく必要があるのでしょう。