しなやかさ

茨木のり子さんの『倚りかからず』(ちくま文庫、親本は1999年)です。
といっても、今回文庫版にあたって増補された作品なのですが、韮崎高校出身のサッカー選手の「彼」(茨木さんは、本名を書いていないので、ここでも書きませんが)の、ことばの的確な使い方に感心した、「球を蹴る人」というものがありました。
最近のサッカーは、ひところほど注目も浴びていないようですし、この「彼」のような、ことばを上手に使って意思表示する選手も少なくなっているようで、そういう意味では、「彼」に注目した茨木さんの感覚は、鋭さとともに、柔軟さを兼ねそなえているようで、みごとなものがあります。
そうしたところに注目する感性と理性とは、忘れずにいたいものだと思います。