どうしてこうなったのか

国分隼人さんの『将軍様の鉄道』(新潮社)です。
どうみてもペンネーム(日豊本線国分駅隼人駅とは隣り合っています)なのはあの国での取材をしているからにはやむをえないと思います。
さて、あの国では、石油が不足がちなので、国内でできる資源を利用するために、鉄道の電化が積極的に推進されていったというのです。たしかに、水力発電と、石炭を使って発電もしくは蒸気機関車を直接動かすことは、可能ではあるでしょう。しかし、よく話題になる、「夜の地球」で、あの国だけが、人がそれなりに住んでいるにもかかわらず真っ暗なところをみると、その電力もどうなっているのかわからないようです。古い蒸気機関車をだましだまし使っているのだといいますし、列車の運行自体も、将軍様の汽車や国際列車以外はほとんどなくなっているのではないかという推測さえあるようです。
別に「地上の楽園」だと思っていたわけではありませんが、ここまでの状況かと思うと、どうしてこうなってしまったのかとも思います。金史良や李箕永、黄健が活動していたはずのところなのに、その後の文学もとんと話をききませんし、そういうことも、現在の状況を生み出すのに無関係ではないのかもしれません。