読みやすさ、よみにくさ

河出書房新社から〈ベルトルト・ブレヒトの仕事〉全6巻が再刊されています。
とりあえず、現在3巻まで出ているのですが、そのうちの最初2冊を読みました。
ブレヒトの文章は、河出のほかにも白水社からも出ていて、そういう点では、どうそろえれば重複をいとわずに読めるのかがよくわからないところがあります。晩年の『転機の書』(墨子に発想を得たとか言うものだそうで、村瀬裕也さんが青木書店からだした『東洋の平和思想』(2003年)では、訳が見つからないとまで書かれているのです)は、講談社から翻訳が出ているだけという状態です。そろそろ、既訳のものの集成でもいいから、どこかが統一したブレヒト著作集でも出してくれないか、それも編年体で、とも思います。
河出のこのシリーズも、あえて年月を明記しない(もちろん、注や目録をていねいに読めばわかるようにはなっています)方針なのかといいたくなるほど、いつの文章なのかがすっきりとはいらないつくりになっています。ソ連東ドイツもなくなったいまこそ、ブレヒトソ連東ドイツを擁護したのが、どういう状況のもとだったかの時代とのかかわりでみていかなければいけなくなっていると感じるので、そうした配慮をこめた著作集があればいいのにと思うのです。